虫歯が進行しすぎると、「神経を取るしかないですね」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。そんなときに行われるのが「根管治療（こんかんちりょう）」と呼ばれる処置です。
今回は、この治療がどのようなものなのか、なぜ必要なのかをわかりやすく解説していきます。
根管治療とは？
根管治療とは、虫歯や外傷によって感染した歯の神経（歯髄）を取り除き、歯の内部をきれいに洗浄・消毒し、再び細菌が入り込まないように密封する治療のことです。
歯の根っこの管（＝根管）の中を掃除して、**歯を残すための「最後の砦」**ともいえる大切な処置です。
なぜ神経を取る必要があるの？
虫歯が神経まで達すると、強い痛みや腫れが生じます。これが「歯髄炎」と呼ばれる状態で、自然に治ることはほとんどありません。
放置すると、炎症が歯の根の先（顎の骨）に広がり、「根尖性歯周炎」や「膿瘍」を引き起こすことも。
そのため、感染源となる神経を取り除く必要があるのです。
根管治療の流れ
根管治療は、通常以下のステップで行われます。
① 神経の除去（抜髄）
歯の中心にある神経を取り除きます。すでに死んでいる神経（壊死）でも感染源になるため、しっかり除去が必要です。
② 根管内の洗浄・消毒
専用の器具と薬液で、根管の中を丁寧に清掃・消毒します。
③ 根管の成形
消毒しやすく、薬が届きやすいように根管の形を整えます。
④ 薬剤の充填（封鎖）
再び細菌が入らないように、根管内を薬剤（ガッタパーチャなど）で密封します。
⑤ 補綴（クラウンなど）
治療後の歯は弱くなるため、クラウン（被せ物）で保護して機能を回復させます。
通院は何回くらい？
状態によりますが、2〜4回程度の通院が一般的です。
すでに治療歴のある歯（再治療）の場合は、より時間がかかることもあります。
根管治療を成功させるために重要なこと
根管の形は人によって異なり、複雑に枝分かれしている場合もあります。
そのため、以下のような精密な処置が重要になります。
- マイクロスコープ（歯科用顕微鏡）の使用
- ラバーダム防湿（唾液が入らないようにする）
- 経験豊富な歯科医師による処置
放置するとどうなる？
「痛くなくなったから大丈夫」と放置してしまうと、歯の根の先に膿がたまったり、歯を支える骨を溶かしてしまうことも。
最悪の場合、歯を抜かなければならなくなるリスクもあるため、早めの対応が重要です。
根管治療後の注意点
- 治療後は一時的に痛みや違和感を感じることがあります（数日〜1週間で落ち着くのが一般的）
- 治療済みの歯は再感染のリスクがあるため、しっかりとしたセルフケア＆定期検診が必須
まとめ
根管治療は、虫歯が進行しても歯を抜かずに残すための重要な処置です。
「神経を取る＝もう終わり」ではなく、歯の寿命を延ばすチャンスでもあります。
怖がらず、信頼できる歯科医院で適切な治療を受けましょう。
そして、二度と根管治療をしなくて済むように、毎日のケアも忘れずに！
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